
CAV方式の空調制御とは|仕組みやVAVとの違いを解説

「CAV方式による空調制御の仕組みとは?」「VAVやダンパーとはどう違う?」「どこで使われているの?」
このような疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
CAVは、空調の送風温度を制御し、室内の温度を調整する装置です。
本記事では「CAVによる空調制御の仕組み」を中心に、以下のテーマにも焦点を当てていきます。
- VAVやダンパーとの違い
- CAVやVAVはどこで使われているか
また、弊社「明電産業株式会社」は昭和23年の創業以来、さまざまな設備の仕入れや施工、補助金申請に携わってまいりました。
空調制御も取り扱っておりますので、興味のある方はぜひご連絡ください。
重要なポイント
CAV(定風量制御装置)とは|空調制御の仕組みを解説

CAVとは、空調の送風温度を制御し、室内の温度を調整する装置のことです。
正式名称は「Constant Air Volume」で、日本語では「定風量制御装置」と訳されます。
また、CAVを用いた空調制御方式は「定風量(CAV)単一ダクト方式」「CAV方式」などと呼ばれます。
CAV方式の特徴は、送風量が一定なこと。
たとえば、製造工場は季節によって室温が大きく異なり、とくに冬季には設定温度を下回りやすいです。
そうした場合、CAV方式は送風量を維持しつつ、送風温度のみを上げて室温を調整します。
室温が設定温度に達したら、今度は送風温度を下げ、室温を維持します。

VAV(可変風量制御装置)とは
CAVとよくセットで紹介されるシステムが、VAV(Variable Air Volume=可変風量制御装置)です。
VAVとは、空調の送風量を制御し、室内の温度を調整する装置のこと。
VAVを用いた空調制御方式を「変風量(VAV)単一ダクト方式」「VAV方式」などと呼びます。
VAV方式では、空調の出力を変更するか、VAV内部の羽根を開閉することで、送風量を制御します。
出力と羽根のどちらで制御するかは、施設の稼働状況次第です。
なぜなら、空調出力の調整は建物内の全ての部屋に影響するためです。 空調出力を変更するとほかの部屋の環境を維持できなくなる場合、VAVの羽根を調整して送風量を制御します。


なお、設定風量は制御盤やスイッチなどで適宜変更可能です。
CAV方式とVAV方式の違い|空調制御方法・メリット・デメリットを比較
メリット/デメリット | CAV方式 | VAV方式 |
---|---|---|
空調制御の方法 | 送風温度の調整 | 送風量の調整 |
メリット | 常に換気できる | 部屋単位で制御できる 省エネ効果が高い |
デメリット | 部屋単位の制御がほぼ不可能ダクトサイズが大きい | 換気が止まる場合がある |
CAV方式とVAV方式の違いの1つは、室温が設定温度に達したあとの換気能力です。
VAV方式では送風温度を調整できないため、室温を維持するためには送風量を減らすほかありません。
したがって、そのあいだは換気能力が低下することになります。
空気が悪くなりやすい工場などでは致命的でしょう。
これに対し、CAV方式では送風温度を調整して室温を維持できます。
送風を止める必要がないため、換気と室温を同時に維持できるのです。
一方CAV方式のデメリットは、風量を維持するためにダクトサイズが大きくなることと、温度を部屋ごとに設定できないこと。
そのため、省エネ効果はVAV方式のほうが高いです。
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CAV・VAVとダンパーの違い
ダクトを流れる風量を調整し、室温を制御する「ダンパー」ですが、CAV、VAVとは以下の点が異なります。
ダンパー | CAV | VAV | |
---|---|---|---|
調整対象 | 送風量 | 送風温度 | 送風量 |
調整方法 | 羽根の開閉 | 空調出力の変更 | 空調出力の変更 羽根の開閉 |
センサー | ☓ | ○ | ○ |
省エネ効果 | ☓ | △ | ◎ |
注目すべきは、センサーの有無と省エネ効果です。
センサーが備わっているCAV、VAVは、ダクト内の風速や部屋の環境変化を素早く察知し、空調をリアルタイムに制御できます。
一方、ダンパーにはセンサーがないのが一般的であり、緻密な制御は得意ではありません。
また、空調を制御できるCAV、VAVに対し、ダンパーが調整できるのは部屋への送風量のみです。
空調から受け取った空気を弱めているにすぎないため、省エネ効果は薄いです。

CAV方式とVAV方式はどこで使われている?

CAV方式やVAV方式は、工場やビル、ショッピングモール、劇場など、大型施設を中心に用いられています。
CAV方式とVAV方式のどちらを利用するかは、それぞれのメリット・デメリットと施設用途を合わせて判断されることが一般的。
換気能力が高いCAV方式は、1部屋ごとの空間が広い劇場やコンサートホールなどで使用されやすいです。
一方、設定温度を部屋ごとに変更できるVAV方式は、部屋数が多いオフィスビルやホテルなどに適しています。
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【注意】CAV方式とVAV方式は単一ダクト方式の一種
CAV方式とVAV方式は「単一ダクト方式」の一種です。
単一ダクト方式とは、機械室などに設置された空調機から、1本のダクトを分岐させて各部屋に送風する方式のこと。
単一ダクト方式以外には、暖房と冷房のダクトを分ける「二重ダクト方式」や、制御機器を各階に設置して空調する「パッケージユニット方式」などがあります。
これらの空調はCAV方式、VAV方式に対応していないため、制御にはほかの方法を用いなければなりません。
まとめ|CAV方式は送風温度による空調制御
CAV方式 | VAV方式 | |
---|---|---|
送風温度の調整 | ○ | ☓ |
送風量の調整 | ☓ | ○ |
換気 | ○ | △ |
部屋ごとの制御 | ☓ | ○ |
省エネ効果 | △ | ○ |
CAVは空調の送風温度を、VAVは空調の送風量を制御する装置です。
CAVを用いた制御方式は「CAV方式」、VAVを用いた制御方式は「VAV方式」と呼ばれます。
ただし、CAV方式とVAV方式は、1本のダクトを分岐させて送風する「単一ダクト方式」の1つ。
単一ダクト方式以外の空調を効率化させたい場合は、CAV方式・VAV方式以外を使う必要があります。
たとえば、弊社が提供している「Ai-Glies」は、部屋やフロアごとに空調ユニットを設置する「個別空調」用の空調制御システムです。
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