中小企業の定義、補助金・助成金・奨励金の違いについて
このページでは、補助金・助成金・奨励金の活用を検討する際に必要な知識として、中小企業の定義、補助金・助成金・奨励金の違いについてお伝えします。
補助金・助成金・奨励金は、申請に条件があります。
その中で、「中小企業対象」となった際に、正式な定義を知っておかないと、自社が対象かどうかわかりません。
また、申請しようとしているものが補助金・助成金・奨励金など、名称が異なるため、混乱することがあります。
このページでは、その違いについても解説していきます。
中小企業の定義
中小企業の定義は、中小企業基本法(昭和38年法律第154号)第2条に記載されています。
まずは、下の表が記載されている定義となりますのでこちらをご確認ください。
業種分類 | 中小企業基本法の定義 |
---|---|
製造業その他 | 資本金の額又は出資の総額が3億円以下の会社又は常時使用する従業員の数が300人以下の会社及び個人 |
卸売業 | 資本金の額又は出資の総額が1億円以下の会社又は常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人 |
小売業 | 資本金の額又は出資の総額が5千万円以下の会社又は常時使用する従業員の数が50人以下の会社及び個人 |
サービス業 | 資本金の額又は出資の総額が5千万円以下の会社又は常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人 |
ゴム製品製造業・旅館業・ソフトウエア業・情報処理サービス業は注意
中小企業関連立法においては、政令により次の業種については、中小企業とする場合があります。
業種分類 | 定義 |
---|---|
ゴム製品製造業(一部を除く) | 資本金3億円以下または従業員900人以下 |
旅館業 | 資本金5千万円以下または従業員200人以下 |
ソフトウエア業・情報処理サービス業 | 資本金3億円以下または従業員300人以下 |
補助金・助成金・奨励金によっては、こちらも適用される場合がありますので、注意しましょう。
みなし大企業について
みなし大企業とは、中小企業の規模感でありながらも大手企業の傘下に属する企業のことを指します。
但し、中小企業基本法上にはいわゆる「みなし大企業」の規定はありません。従って、先ほどの表の条件に適していれば「中小企業」となりますが、補助金・助成金・奨励金によっては、みなし大企業としての定義が記載され、中小企業と区別されることがあります。
具体例を示すと、経産省の省エネ補助金である「省エネルギー投資促進支援事業費補助金」では、以下の条件に当てはまる企業を「みなし大企業」としています。
- 資本金又は出資金が5億円以上の法人に直接又は間接に100%の株式を保有される中小・小規模事業者。
※但し、資本金又は出資金が5億円以上の法人が中小企業に該当する場合は、適用しない。 - 交付申請時において、確定している(申告済みの)直近過去3年分の各年又は各事業年度の課税所得の年平均額が15億円を超える中小・小規模事業者。
省エネルギー投資促進支援事業費補助金の場合、みなし大企業も申請可能ですが、補助率・補助上限が中小企業と変わるだけではなく、中小企業であれば審査段階で加点されますが、それがされなくなります。
また、補助金・助成金・奨励金によっては、みなし大企業は申請できないことがあります。
自社の株式において、大企業の保有率が高い場合には、みなし大企業に該当しないか、確認するようにしましょう。
医療法人や社会福祉法人などの「会社ではない法人」について
農業法人(会社法の会社又は有限会社に限る。)を除き、中小企業基本法上の「会社」に該当しないと解されることから中小企業基本法上の中小企業者には該当しません。
しかし、医療法人や社会福祉法人も、補助金・助成金・奨励金によっては、条件を満たせば中小企業として扱われることがあります。
その場合、基本的に「従業員数300人以下」という条件が付いた上で、それ以外にも条件が追加されることがあります。
その補助金・助成金・奨励金の申請条件を調べる必要がありますので注意しましょう。
補助金・助成金・奨励金の違い
結論からいうと、非常に曖昧なため、名前で完全に区別することは難しいです。
あまり名称にとらわれず、中身がどういうものかを調べる必要があります。
補助金について
補助金は、主に政策目標に合わせた事業や取り組みに対して国や自治体が交付するお金です。
予算が決められており、条件を満たしていても採択されないことがあります。
具体例を挙げると、次のような補助金があります。
【経産省】省エネルギー投資促進支援事業費補助金
経産省が、2030年の省エネルギー目標を達成させるため、企業に対して省エネ設備の導入費用の一部を補助します。
業務用エアコンや変圧器の交換、EMSの導入など、様々な省エネ設備導入が補助されます。
助成金について
助成金は、主に雇用や労働環境の改善に対して国や自治体が交付するお金です。
主に厚生労働省が実施しているが多いですが、地方自治体などで「助成金」の名称を使っているものもあります。
補助金との大きな違いは、条件を満たせばお金をもらえます。
具体例を挙げると、次のような助成金があります。
【厚労省】業務改善助成金
事業場内で最も低い賃金(事業場内最低賃金)を30円以上引き上げ、生産性向上に資する設備投資等を行った場合に、その設備投資等にかかった費用の一部を助成する制度です。
助成金申請を代行業者に依頼する場合の注意点
厚労省による助成金申請で代行を依頼する場合には注意が必要です。
厚労省による助成金は社労士資格を有する人しかできません。
但し、「助成金=厚労省」ということではありませんので、注意しましょう。
例として、次のような助成金があります。
【東京都】ゼロエミッション化に向けた省エネ設備導入・運用改善支援事業における助成金
東京都のクール・ネット東京が実施している、空調や照明、変圧器の交換に使える助成金です。
この助成金は厚労省の管轄ではないため、申請代行は社労士資格がなくても問題ありません。
申請したい「助成金」があり、その申請代行を他社に依頼したい場合、それが社労士資格が必要かどうかを調べるようにしましょう。
奨励金について
まず、奨励金ですが、特定の事業や行為に対して国や自治体、団体が交付するお金です。
具体例を挙げると、次のような奨励金があります。
【東京都】働きやすい職場環境づくり推進奨励金
東京都は、従業員の育児・介護や病気治療、ライフイベントと仕事の両立支援等の推進に取り組む中小企業の皆様を応援するため、「東京都働きやすい職場環境づくり推進奨励金」を実施しています。
育児と仕事の両立支援のための休暇制度等を新たに整備したり、介護と仕事の両立に関する相談窓口を社内に設置するなどした場合に支給されます。
補助金・助成金・奨励金の賢い活用方法
補助金・助成金・奨励金をうまく活用するためには、自社が申請対象になるのかどうか、どういった設備が対象になるのか、申請条件は何か等を調べることから始まります。
補助金・助成金・奨励金を告知するチラシは概要のみの記載となっており、実際にはかなり細かいルールがあることが多いです。
工事を依頼したい業者が申請になれていない・申請したことがない場合、施主・工事店共に非常に手間がかかるだけではなく、後々トラブルになることもあり得ます。
明電産業グループでは、数多くの補助金・助成金・奨励金の申請サポートを行っています。
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