【令和6年度も補助金実施】電気自動車と充電器。会社に導入する必要あるの?
脱炭素化に向けて、電気自動車の普及促進が行われています。
海外メーカーだけではなく、国内メーカーも続々とEV化に向けた長期的戦略を発表し、日本でも2035年に新車販売は電動車のみとなります。
そういった世の中の流れはあるものの、
・今、会社に電気自動車を導入する必要ある?
・社用車を電気自動車に変えて大丈夫なの?
・充電器置くとしたらどれくらい経費がかかるの?
そういった疑問、いや、むしろ否定的な考えが浮かぶ社長、設備担当者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この記事を読んでいただければ、
・会社に電気自動車を導入する場合のメリットとデメリット
・充電器の設置費用
・電気自動車と充電器の補助金
がわかります。
昨年度から大幅に補助金が充実し、問合せ・見積り依頼・補助金申請が相次ぎました。
そのまま設置した会社、設置を見送った会社、両方いらっしゃいました。
「【17選】法人向けEV急速充電器の設置場所」の記事を見る
今回は、その実例を基に、皆様の疑問に答えていきます。
会社に電気自動車を導入するメリットとデメリット
メリット1 燃料コストが安くなる
電気自動車の方が燃料費が安くなります。
ガソリンも電気代も両方値上、特に電気代の値上げが激しいことから、「これだけ電気代が上がったら、電気自動車も結構かかるんじゃないの?」と思われる方も多いと思います。
実際に比較すると、次のようになります。
・ガソリン車の場合:1kmあたり約10.7円 ※燃費 15km/l、ガソリン代 160円/l
・電気自動車の場合:1kmあたり約 4.5円 ※電費 6km/kWh、電気代 27円/kWh
このように、1kmあたりのコストは、電気自動車はガソリン車の約40%となり、半分以下となります。
仮に、毎月1,000km走行するとすると、年間で約74,000円燃料費に差がつくことになります。
メリット2 維持費が安くなる
電気自動車の方が維持費が安くなります。
まず、メンテナンス費ですが、電気自動車にはガソリンオイルがありません。また、ブレーキパッドの減りも少なく、交換が少なくてすみます。
また、そもそも排気量0ccであるため、自動車税も一番低い金額ですし、それ以外にも様々な減税制度が適用されます。
メリット3 環境アピールができる
CO2排出量を減らすことで、社内外に対して環境アピールができます。
特に、新卒を中心とした人材獲得に良い影響が出ることが考えられます。
若い世代になるほど「SDGs」「ESG」への関心が高くなります。
「環境」「社会」「人」への配慮ができている会社は、若い人材が集まりやすくなります。
電気自動車の導入、充電器の設置は、実践している企業がまだ多くないため、早めに取り組むことで他社との差別化ポイントにできます。
「EV充電器の設置メリットは環境アピールや集客ができます」の記事を見る
デメリット1 導入コストが高い
ガソリン車に比べて車両本体の価格は高くなります。
補助金を使っても、ハイブリッド車よりも高くなってしまうと、購入すべきか迷ってしまいます。
また、バッテリーが劣化しますので、長距離の走行が多い場合には、所有期間中にバッテリー交換の必要となり、金額も高額になります。
車種も少ないことから、リースも選択肢が限られることもネックです。
デメリット2 航続距離が短く、充電に時間がかかる
ガソリン車よりも航続距離が短いものが多いです。
ガソリン車の場合、小さい車でも満タンで40Lくらいガソリンが入るので、15km/lと考えると600km走ることができます。
一方、電気自動車は、平均で6km/kWh。ガソリン車と同じ600km走るにはバッテリー容量が100kWh必要ですが、それほど大きいバッテリーを積んでいる電気自動車は、相当な高級車しかありません。
充電にも時間がかかります。
サービスエリア、道の駅などに設置してある急速充電器を使用しても、充電に30分以上かかるため、長距離移動が必要な場合は、電気自動車の中でもBEV(バッテリーのみの電気自動車)ではなく、PHV(バッテリーとエンジン両方を搭載)にしないと、実用性が低くなるでしょう。
デメリット3 充電スタンドが少ない
ガソリンスタンドに比べて充電スタンドが少ないです。
特に急速充電器はほとんどがディーラー、道の駅、サービスエリアがメインの設置場所となり、急に充電が必要になった際に困ることになります。
国として充電インフラを充実させるために補助金を強化していますが、急速充電器の設置は設置者の負担が大きいため、なかなか数が増えるまでには時間がかかりそうです。
以上のように、EV充電器を設置するメリットやデメリットがあります。
EV急速充電器の設置に失敗しないための解説記事を用意していますので、あわせてご覧ください。
EV急速充電器の設置費用と失敗しないためのポイントを解説
充電器について
充電器の種類
会社に設置する場合、通常は選択肢として「充電コンセント」「普通充電器」のどちらかとなります。
両方とも、満充電までには時間がかかります(1時間充電だと航続距離20~30km程度の充電)。
充電コンセントは、住宅の屋外コンセントとほぼ同じ形状です。
ケーブルがないため、充電するときは、車のトランクから充電ケーブルを取り出し、車と充電コンセントをつなぐことになります。
価格は数千円程度のものもありますので、一番導入コストを抑えられます。
普通充電器はケーブルがついているので、トランクからいちいち取り出す必要がありませんが、その分価格は高くなります。
価格は20万円以上するものが多く、仮に課金タイプを選ぶと80万円~とかなり高額になります。
急速充電器は、主にサービスエリアや道の駅に設置してある充電器です。
機器が高額(200万円~)なだけではなく、設置費用も高くなります。
キュービクルが必要になる場合が多く、仮に新しく設置するとなるとそれだけでも相当な費用がかかります。
集客効果、地域貢献などの理由がない場合、会社に設置するには負担が大きいといえます。
充電器の法定耐用年数は6年、交換の目安は10年です。
EV急速充電器の設置費用と失敗しないためのポイントを解説
設置費用について
充電コンセント、普通充電器は、建物の壁に付けるのであれば高額になることは少ないです。
分電盤からの距離によりますが、うまくいけば数万円程度となります。
EV急速充電器の設置費用について詳しく見る
駐車場に設置する場合、配線の埋設のための掘削、再塗装が必要になるため距離が長いほど設置費用は高くなります。
また、そもそも分電盤からの距離が長いとケーブルの費用なども高くなるため、なるべく分電盤やキュービクルから近い場所への設置を検討しましょう。
複数台の設置を検討している場合も注意が必要です。
1台あたり20A以上の電流が流れることになり、複数台設置する場合は既存の建物の電気容量では足りなくなる可能性があります。
台数によっては、キュービクルの設置も必要となります。
「EV急速充電器の設置基準」の記事を読む
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補助金について
現在、脱炭素化に向け、国としても電気自動車、充電器の設置の補助金を強化しています。
今後、数年間は補助が続くと思いますが、いずれ縮小していくと思われますので、今が一番補助が厚い状況と言えます。
補助金概要
メインは経産省が出しているCEV補助金と充電インフラ補助金となります。
【CEV補助金】
・電気自動車に活用できる補助金
・現在はほぼ年間で活用可能な状況
・令和4年から倍増中(EV:最大85万円補助・PHV:最大55万円補助)
電気自動車に限らず、新車の納期が長期化している点に注意が必要です。
常に予算が組まれているので、時期に関わらず補助が受けられる状態ではありますが、新車新規登録の時期によって、どの予算で組まれた補助金を活用できるかが決まります。
今後、補助金額の変更や条件の変更が起こることも考えられます。
【充電インフラ補助金】
・充電設備設置に活用できる補助金
・機器は半額補助
・工事費は施設の種類、設置する機器の種類により補助上限金額が異なる
・令和6年度から先着順から審査制に変更
機器は半額補助となりますが、事前にメーカーから申請された機器のみ対象となります。
工事費は施設の種類、設置する機器により補助金額が異なります。
会社に設置する場合、充電コンセントなら最大95万円、普通充電器なら最大135万円の補助となります(令和6年度)。
また、キュービクルの設置が必要な場合はさらに補助金が上乗せとなります。
令和6年度から、先着順ではなく審査制に変わりました。
これは、国の方針として、「より高出力」「より多くの人が利用」「より安く設置」を重視するようになりました。
会社に設置する場合、「多くの人が利用」に該当しないため、「より高出力」「より安く設置」が必要です。
普通充電器であれば6kWを選ぶこと、そして、工事はなるべく安くなるよう、電源(分電盤、キュービクル)からの距離を近くし、壁に設置することで駐車場の掘削をしないようにするなどの工夫が必要です。
電気自動車と充電器は、今後社員の福利厚生の一つになる
いずれは導入しなければいけなくなる電気自動車は、ガソリン車とは使い方が変わります。
電気自動車は、基本は長時間駐車する場所で普通充電し、長距離移動の場合は途中の急速充電器スタンドで充電することになります。
社用車が電気自動車の場合、通常は「夕方から朝まで会社で充電」となるため、会社への設置が必要があります。
また、社員の福利厚生につながるツールにもなっていきます。
【実例紹介】会社への電気自動車の充電器設置を解説(補助金活用あり)
既設の集団住宅では、新たに充電設備を設置することが難しいため、集団住宅に住んでいる社員は不便な状況になります。
会社に社員用の充電設備があると、社員は非常に助かります。
欧米では電気自動車を会社と社員でシェアするケースも増えています。
購入費用・リース費用を社員が一部負担してくれるため経費削減になり、社員は車を購入する必要がなくなるため、win-winの関係となっています。
日本でもその考えが広まる可能性があり、実際にカーシェアのシステムが増えてきました。
補助金はいずれ縮小されるのは間違いありません。
おそらく今が一番補助が手厚いタイミングです。
また、今であれば電気自動車の導入、充電器の設置が内外へのアピールにもつながります。
設置場所や台数により工事費の幅が広いため、とりあえず見積をとり、一度目安を立ててみてはいかがでしょうか。
補助金を活用して設置するメリットが見えるのであれば、今年設置することをお勧めします。
明電産業では見積、補助金申請、施工全て対応できます。
お気軽にご相談ください。
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