このコラムでは、「設置を検討している場所の面積から超ざっくりでいいので節電効果を見てみたい」方への記事となります。
自家消費太陽光発電を設置する場合、検討を始めてから工事店による現場調査、設計、見積を経て漸く費用対効果が見えてきますが、そこに至るまでにかなりの時間がかかります。
とりあえず自家消費太陽光の検討を始めるにあたっての、おおよその検討を付けるための計算方法を記載していきます。
設置検討場所の面積から太陽光パネルを設置できる面積を超概算
まず、太陽光発電を設置しようと考えた場合、工場や事務所の屋根への設置を検討されることが多いと思われます。
工場や事務所の場合に多い3つの屋根形状を基に話を進めていきます。
・切り妻屋根:「三角屋根」
・片流れ屋根: 一面で構成される屋根。雨が流れるように勾配がついている
・陸屋根 :ビルなどの屋上に多い
太陽光を設置したい屋根ですが、原則は南向きに設置できるかがポイントとなります。
・切り妻屋根の場合は、南向きに向いている屋根の面積で考えるのが無難です。
・片流れ屋根の場合は、それほど勾配がきつくない場合は、屋根全体の面積で考えます。
・陸屋根の場合は、片流れ屋根の場合と同じく屋上全体の面積で考えます。
設置したい場所の面積を算出し、それに0.8をかけた面積がおおよその太陽光パネルの設置面積となります。
例.縦20m、横50mの片流れ屋根の場合
20m × 50m = 1,000㎡ ⇒ 1,000㎡ × 0.8 = 800㎡に設置
これで太陽光パネルの設置面積が超ざっくりですが算出できました。この設置面積を使って、次の章で節電効果を算出していきます。
設置面積から年間発電量と節電効果を超概算&さらに超々概算方法
次に、太陽光パネルの発電出力、年間発電量、年間自家消費量を出し、年間の節電効果を算出します。
節電効果を算出するまで4段階です。
①まず、太陽光パネルの発電出力です。
設置面積に0.1をかけるとおおよそのパネルの発電出力となります。
例.800㎡に設置する場合
800㎡ × 0.1 = 80kW
②次に、パネルの発電出力に1,000をかけるとおおよその年間発電量となります。
例.80kWの場合
80kW × 1,000 = 80,000kWh
③次に、年間発電量に0.8をかけるとおおよその年間自家消費量となります。
定休日等で実際に発電しても自家消費できない電気があるため、発電量の8割を自家消費したとして算出します。
例.80,000kWhの場合
80,000kWh × 0.8 = 64,000kWh
④最後に、年間自家消費量に電力量料金をかけると年間の節電効果となります。
ここでは、高圧の電力量料金として17円/kWhをかけてみます。
例.64,000kWhの場合
64,000kWh × 17円/kWh = 1,088,000円
つまり、1,000㎡に自家消費太陽光を設置する場合、年間で1,088,000円節電効果となります。
ここまで超概算での節電効果を順を追って説明しましたが、
もっとざっくりの「超々概算でいい」場合には設置検討箇所の面積×1,000 で年間節電効果が出せます。
例.1,000㎡ × 1,000 = 1,000,000円
太陽光発電を設置する機器費+工事費のおおよその相場は設置出力×25万円と考えると、
80kW設置の場合、80kW × 25万円 = 2,000万円となります。
そうすると、投資回収期間はおおよそ20年ということになります。
実際の節電効果を考えるために
ここまで超概算での節電効果の算出方法をお伝えしましたが、当然ことながら実際には色々な要素を考える必要があります。
特に重要となる要素は次の5つです。
①設備の消費電力
自家消費太陽光の場合、施設のデマンド(30分毎の平均消費電力)を基にパネルの出力を設計します。
屋根全体にパネルをつけて発電する発電量よりも使用電力量が少ない場合には、これほどの節電効果は出せません。
初期投資額と使用電力量、節電効果のバランスを見て設計をした結果、屋根全体ではなく一部分のみに設置するケースが非常に多くあります。
②設置場所
例えば片流れ屋根の場合、北側に向かって下がっているのか、南側に向かって下がっているのかにより、設置費用が異なります。
北側に向かって下がっている場合、パネルを屋根にそのまま設置しても太陽光をうまく受けることができないため、架台をつけて角度をつけることになります。
架台設置分の工事費が高くなることと、角度がつくことでパネル自身の影ができるため、影を避けるように設置することで、同じ屋根面積でも設置できる枚数が少なくなります。
また、太陽光設備とキュービクルをつなぐ必要があります。距離が長いほど工事費が高くなります。
③屋根の状態
太陽光パネルを20年以上設置することになります。
太陽光パネルの重さは1枚当たり15kg前後となり、50kWの出力を出そうとすると100枚程度、1,500kgの重量が載ることになります。
構造上、パネルを載せても耐えられるのか、また、雨漏りの心配がないかなどを確認し、場合により事前に対応をする必要があります。
④発電出力
太陽光発電は50kW未満か50kW以上で法律上の取り扱いが異なります。
50kW以上になると保安規制も厳しくなり、それに伴う労力、ランニングコストもかかります。
また、大規模になると電力会社への申請も時間がかかることがあり、検討してから稼働させるまで長い期間を要する場合があります。
⑤補助金
脱炭素にもつながる自家消費太陽光設置に対し、多くの補助金が毎年、国、自治体から発表されています。
しかし、補助金にはいくつもの条件があり、それをクリアしないと補助金を活用することができません。
また、申請期間がありますので、それに合わせたスケジュールで進められるかどうか、ほじょきんをかつようできるかどうかで、
投資回収期間が大きく変わってきます。
これ以外にも多くの要素を考えた上でバランスを取り、最適な設計をする必要があるのか自家消費太陽光発電設備です。
まずは、今回のコラムの算出方法を基におおよその目安を付けた上で、早めに業者へ相談することをお勧めします。
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